リレーエッセイ(コラム)

第6回『日本にいては、いけないの?』<シリーズ第2回>

「週28時間以内しか働けない」

三木恵美子 弁護士

(この話は、実際にあった複数の話を踏まえながら、それぞれの人のプライバシーに配慮して、名前や内容を変えてあります。) 

 しかし、水野先生は、1人で問題を抱え込みませんでした。同じ高校の定時制で教師をしている高山先生に相談しました。高山先生は、すぐに、王君が中学生の時に勉強を教えてくれた林先生に連絡を取り、林先生は弁護士の助言を得た方が良いと言って、仁木弁護士にも声を掛け、みんなで相談しました。

 林先生によれば、王君は、中学校1年生の時に、お母さんと一緒に日本にやってきた、お父さんは、その2年前から、中華料理の大きなレストランで働いていたといいます。

 仁木弁護士は、王君のお父さんは「技能」という在留資格を持っている、そうするとお母さんと王君は「家族滞在」という在留資格しか持っていないので、原則として働けない、例外的に週28時間までは働けるが入管に届け出る必要があると説明しました。

 水野先生は、「在留資格って何ですか。そういうもので、働くことができたりできなかったりするんですか。」とびっくりしました。

 高山先生は、「ボクの教え子も家族滞在の在留資格しか持っていなかったので、せっかく正社員の就職面接の案内があったけど、週40時間働くことができないから、泣く泣く見送ったことがあったよ。」と言いました。

 林先生は、「お父さんの家族で高等教育を受けた人はいないからと言って、王君が高校進学するとき家族はあんまり賛成じゃなかったけど、高校を卒業すれば仕事も選択肢も増えるかもとお母さんが言って,ようやく進学することになったんです。それなのに、就職先で働けないとは、王君はご両親に言いにくいはずですね。」とため息をつきました。

~続く~

このページのTOPへ

はじめての方へ

 横浜法律事務所は、1963年6月に設立され、今年で54年を迎えます。現在、13名の弁護士が所属しています。
 弁護士の役割も多様化している現代、所員が取り扱う分野も多岐にわたっています。
 時代は移り変わりますが、私たちは、昔も今も、真摯に事件に向き合いながら、歩んでいます。
 どうぞお気軽にご相談ください。