リレーエッセイ(コラム)

第10回『安保法制の問題点』

笠置裕亮 弁護士

 昨年7月1日、安倍内閣は、集団的自衛権行使容認を内容とする閣議決定を行いました。その後、2015年2月に自民党と公明党との与党協議会が再開されてからわずか1か月余りの3月20日には、「安全保障法制整備の具体的な方向性について」と題する文書が合意され、5月14日にはついに、下記の内容の安保法制関連法案が閣議決定され、通常国会に法案提出されました。

 まず、武力攻撃に至らない侵害に対しては、米軍の武器防護のために自衛隊に武器使用を認めた上、電話による閣議決定のみで自衛隊が海上警備行動や治安出動を行えるとしています。

 次に、従来の周辺事態法を「重要影響事態法」と改称し、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態が生じれば、日本周辺に限られず、全地球規模で自衛隊が米軍支援活動を担えるとしています。

 加えて、従来の武力攻撃事態法を「武力攻撃・存立危機事態法」と改称し、日本が直接攻撃を受けたわけではないが、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合であっても、一定の要件を充たせば、自衛隊が戦闘行為に参加できるとしています。これは即ち、集団的自衛権の行使を容認するものです。

 更に、今回の安保法制では、日本への侵害行為がないにも拘らず、国際的な平和協力という美名の下、自衛隊の海外派遣範囲が著しく拡大されてもいます。

 このような法案が施行されてしまえば、日本が米国の戦争により深く関わることが可能になります。このことは、必然的に、国内外において日本人が武力攻撃の犠牲となる可能性を高めるばかりか、自衛隊が武力によって、罪なき他国の多くの一般市民を殺害することにつながるのです。

 このような安保法制が、憲法9条に反し、立憲主義に悖ることは明らかです。

 現に、6月4日に開かれた衆院憲法審査会にて、参考人として招致された3名の憲法学者(小林節・慶大名誉教授、長谷部恭男・早大教授、笹田栄司・早大教授)全員が、集団的自衛権は「違憲」との見方を示し、憲法改正手続を無視した形で推し進める安倍政権の手法を批判しました。

 とりわけ、与党が推薦した長谷部恭男・早大教授が、従来の政府解釈が個別的自衛権のみを認めてきた点を踏まえて「(閣議決定は)どこまで武力行使が許されるのかも不明確で、立憲主義に悖る」と断じた点は注目されるべきです。

 このように、日本に住む多くの人々を戦争に巻き込むことになる上、内容自体も違憲である安保法制を、可決、施行することは断じて許されません。

 私たち一人一人が、この法案の問題点を知り、声を上げるべきなのです。

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