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働く人の法律相談『英語の社内公用化に不安』

佐藤正知 弁護士

導入強引なら反対を 支援策や年齢考慮も必要

朝日新聞記事イラスト:今井ヨージ 海外での事業拡大に伴い、社内の公用語を英語にしてはどうか、という意見が出ている。同僚との日常会話はもちろん、会議や資料も英語。その環境で実績を示せなければ、減給や降格もありうるかと思うと不安―。40代の男性会社員からの質問です。
 グローバル競争の時代。海外に商売先を広げるため、ビジネス会話の公用語である英語を、いっそ会社の公用語に、と経営者が考えるのは分からないではありません。では、業務命令で公用語化を命じられるでしょうか。経営者は、▽業務上の必要性がどれだけあるのか▽それによって社員が被る不利益はどの程度なのか、を十分に比較検討する必要があります。
 「そんな要求は想定せずに入社した」という社員がほとんどでしょうし、「英語が不可欠な部署で働いているわけではないのに」と、ギャップを訴える人も多いでしょう。 それまで日本語で十分足りていた仕事が、英語でなければ支障を来すというのも考えにくいものです。
 英語力の優劣をいきなり、給与の増減や昇格・降格など処遇にまで反映させるのは、社員が被る不利益の方が大きく、命令権の乱用といえるでしょう。では、経営者が就業規則を変更し、公用語化を労働条件の内容としてしまったらどうでしょうか。
 労働契約法は、合理的なものでない限り、不利益な就業規則への変更はできないと定めています。やはりカギを握るのは、業務上の必要性と、被る不利益の程度です。強引な導入には、労働組合などを通じて反対すべきです。
 そもそも、英語を使って仕事ができるということと、常に英語しか使ってはいけない、というのは意味合いの異なる話です。処遇と連動させるなら、個々の業務でどれだけ英語力が必要なのかを洗い出し、実態に即した資金体系の導入などが求められます。検定試験の成績が良くても、仕事で成果を上げられなければ本末転倒でしょう。
 導入までに一定期間を確保し、会社負担で社員に語学学校に通ってもらうなどバックアップも欠かせません。「劇薬」を導入するのですから、社員の年齢差を考慮するといった目配りも求められます。

【朝日新聞 2011年2月21日付】

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